昨日、久しぶりにセッションにお越しいただいた男性・Sさま。
これまでSさまは、ご自身のライフワークでもあるトライアスロンに向けて、定期的に身体調律に通ってくださっていました。
ところが昨年5月、オーストラリアでの大会前のチューニングを最後に、突然ぱったり連絡が途絶え…
実に約1年ぶりの再会となったのです。
スタジオに現れたSさまは、一見お元気そうに見えましたが、明らかに以前とはカラダが違っていました。
特に筋肉量の減少が目につきました。
お話をうかがうと、勤務先で大きなトラブルが発生し、すべてのクライアントへの謝罪行脚に追われる事態に。
その矢面に立たざるを得なくなったのが、まさにSさまだったのです。
まるで地獄のような日々だったそうですが、それもようやく今年1月に終息。
2月からトレーニングを再開したものの、走っても自転車に乗っても膝の痛みは引かず、
筋肉も一向に戻らないという状態が続いていました。
1年ぶりにSさまの骨に触れていくと、まず感じたのは「骨の感触の遠さ」。
それはつまり、筋肉が常に力んでいて、カラダの内側──すなわち“内圧”がパンパンに張りつめている状態でした。
そこで私は、内圧の排出を促すべく、足首の骨にアプローチを始めました。
…と、その時ふと、私の中に長年の疑問がよみがえってきたのです。
「なぜ、こういうタイミングで皆さんは姿を消すのか?」
長年通ってくださっていた方が、ある時期を境にパタリと来なくなり、
久しぶりにいらっしゃったときには「実は来ていなかった期間、大変な状況でした」という展開──
これは珍しい話ではありません。
でも、私にはどうしても腑に落ちない点があるのです。
「なぜ、その“大変な期間”の途中で、セッションを受けに来なかったのか?」
多くの方が「そんな余裕、なかったんです」と言います。
もちろん、それはその通りなのかもしれません。
ですが、私が“気になる”と感じる方々は例外なく、
ご自身のカラダに対する意識が高く、日頃から先手先手でケアを行えるような感性と経験値を持っています。
そんな方たちでさえも、なぜか突然、一定期間まったく来なくなる──
そのことが、ずっと引っかかっていたのです。
今回、Sさまの“力んだままのカラダ”に触れたとき、
私の中でひとつの映像が浮かびました。
それは、先日見たあるニュース映像です。
今月、アメリカで発生した大洪水の話。
ケンタッキー州にある川沿いの人気レストランも被害にあったのですが、
この店が注目を集めた理由は、“まさかの洪水対策”でした。
なんとこのレストラン、川の汚水や泥が店内に入ってこないように、
あえて水道水や井戸水で、店内を自ら満たしていたのです。
「川の水で汚れるより、きれいな水で満たした方が後片付けが楽だから」と。
このニュースを思い出したとき、私の中で点と点がつながったのです。
この、「内側の店内に自ら水を張り、外からの汚水の侵入を防ぐ」という構造。
これこそSさまのカラダが「外からの圧(プレッシャー)に耐えるため、あえて力みを生み“内圧”を高めていたのではないか」と。
だからこそ、プレッシャーにさらされている最中は、
無理に内圧を抜いてしまえば、むしろ内臓がダメージを受け、
メンタルにも深刻な影響が及んでしまう。
それを本能的に察知して、カラダ自体がセッションを受けに行くことを拒んでいたのではないか──。
そんな“妄想”が、ふと私の中に芽生えたのです。
でも、それは私の中でとても腑に落ちる感覚でした。
Sさまのカラダはこの1年間ずっと、
彼自身を護るために力み、内圧を保ち続けていたのだと。
そしてようやく、「護り続けるフェーズ」から抜け出してよい段階に入り、
今回このスタジオUに戻ってくることができたのだと。
改めて、カラダという存在の叡智と能力に、深く感動したセッションでした。
カラダは、あなたが思っている以上に、あなたの味方です。
だからこそ、無理に解放しない、待つという選択もまた、大切なケアのひとつなのだと感じさせられました。
≪参考動画≫
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