弥二郎の絵

ふいに
母、敏子から連絡がある。

敏子とは、私の産みの親であり
育ての親。

通称、オカンというやつだ。

実家にある絵を新しいお店に送るから飾りなさい、と。

たしかに、
実家には私が生まれる前からある1枚の絵がある。

それが新しい額に入れられて届いたのだ。

物心ついた時から、
ずっと実家の居間に在った絵。

なんだか急に、
スタジオが実家みたいな雰囲気になり
不思議な体感を覚える。

そして、

スタジオの空気感が
ぎゅっと締まるの。

低音が響く感じ。

スピーカーのウーハーが入ったみたい。

絵のチカラを、初めて体感した。

届いた旨を伝えるべく敏子に連絡すると

その絵、

私の祖父にあたる弥二郎の物だったらしいとのこと。

初めて聞いた。

ちなみに、

弥二郎は、私が生まれた時には他界しており
会ったことは無い。

ただ、
私が生まれて育った横浜は妙蓮寺にて
町医者として働いていたという話は聞いていた。

どことなく、
自分が整体という世界に入った時にも
会ったことのない弥二郎の存在は意識したのは覚えている。

敏子曰く、

『お祖父様が孫の開業祝に贈ったのでは⁉陽の目が見れて良かったでしょう』

と。

なんだか、
会ったことのないじっちゃんに

祝福されたような気がして、妙に嬉しかった。

妙蓮寺で町医者。

泉岳寺で身体調律。

ま、あとは

じっちゃんの名にかけて!!

って、やつですかね。

絵、スタジオに、飾らせていただきました。

ありがとう じっちゃん。

ありがとう弥二郎。

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